2025年1月4日 投稿 第四章 アソシエーショニズム 3.経済革命と政治革命 相互の合意による交換にもとづく資本制経済において、なぜ不平等が生じるのか。プルードンによれ、労働者たちは協業と分業において個々人がもつ以上の「集合力」を発揮するのだが、…
2024年12月29日 投稿 第四章 アソシエーショニズム 2.社会主義と国家主義 ここで論じる社会主義は、国家による社会主義ではなく、国家を拒否する社会主義(アソシエーショニズム)である。フランス革命では、「自由・平等・友愛」というスローガンが唱えら…
2024年12月21日 投稿 文献:Nishida, K. et al. Butterfly wing color made of pigmented liquid Cell Reports 42: 112917 (2023) チョウやガの翅の色は、鱗粉によって決められている、とだれでも考えている。事実、翅をこすって鱗粉をはがすと、透明になっ…
2024年12月7日 投稿 雑録:僕が東大医科研でした研究 10月16日に、このブログに投稿した「僕がした最初の研究」に続くもので、そのとき書いたように、淡路島夢舞台で行われた国際シンポジウムのdinner talkで話した僕の若い頃の研究の紹介です。1966年4月か…
2024年12月2日 投稿 第三部 近代世界システム 第四章 アソシエーショニズム 1.宗教批判 これまでに、柄谷は、交換様式Dが普遍宗教としてあらわれたこと、それゆえ、社会運動もまた 宗教の形態をとってあらわれた、と述べている。例えば、水平派(Levellers…
2024年11月25日 The butterfly wing pattern ground plan:the color pattern gene WntAのcis-regulatory elements (CREs)の解析 まず、chromatin構築についての解析方法を説明しておく。 TADs, topologically associating domains:空間的に近接している染…
2024年11月14日 投稿 第三章 ネーション 3.想像力の地位 18世紀後半のヨーロッパに、ベネディクト・アンダーソンが言うような「想像された共同体」が形成されただけでなく、「想像力」そのものが特殊な意義をおびて出現した。ネーションが成立したのと、哲…
2024年11月11日 投稿 オオシモフリエダシャクのcortex geneの論文に続いて、ドクチョウの擬態とcortex geneの論文を紹介しようとしたが、蝶の紋様形成について、あまりにも無知なので、最初から勉強するつもりで、蝶の翅の蛇の目模様の形成の仕組みの論文を…
2024年10月31日 投稿 第三章 ネーション 2.共同体の代補 前項によると、ネーションを作ったのは国家や資本のように思える。しかし、ネーションは、それにもかかわらず、それ自体が資本=国家に対抗するものとして生まれたのである。ネーションのこの反発は…
2024年10月28日 投稿 第三部 近代世界システム 第三章 ネーション 1.ネーションの形成 先ず、柄谷が言う、「ネーション」のあらましを知る必要がある。文頭に、「この章で見るのは、それ(ネーション)が、交換様式Cの優位の下に、資本=ネーション=ステ…
2024年10月25日 投稿 オオシモフリエダシャクの工業黒化の原因 生物の環境適応の例として、イギリスにおけるオオシモフリエダシャク(Biston betularia)の工業暗化がよく知られている。本来、この蛾の体色は白地にまだら模様の入った淡色で(Typica)、とま…
2024年10月16日 投稿 雑録:僕がした最初の研究 2005年11月1日、淡路島夢舞台で、文科省の特定領域研究班(吉田賢右さんが研究代表者)が主催する国際シンポジウムが行われた。その会の一日、夕食の後でリラックスした状態(酒が入った)で集まった参加者の…
2024年10月11日 投稿 第三部 第二章 産業資本 4.産業資本主義の起源 マルクスは、封建的生産様式から資本主義的生産様式への移行において、「二つの道」があった、と言っている。それは、生産者がマニュファクチャーを組織する場合と、商人資本がマニュフ…
2024年10月9日 前回紹介した論文に引き続き、Cellに掲載された論文で、デンマークの2つの研究グループと都医学研の正井久雄さんの研究グループが共同で行った研究結果である。読んでみると、前の論文より分かりやすいので、こちらを先に紹介すべきであった…
2024年9月29日投稿 ヒストン情報の親細胞から子細胞への伝達 最新のCellに次の論文が掲載されていたので、僕の勉強もかねて、紹介する。本論文では、例えば、1つの幹細胞が同じ性質をもつ2つの子細胞に分裂するとき、親DNAのchromatin構築が子細胞のDNAに…
2024年9月17日(火)投稿 料理のこと:ジェノベーゼ・スパゲッティ わが家では、スパゲッティというと、カルボナーラやボロニアを差し置いて、ジェノベーゼを一番よく食べている。その理由は、この何十年、春から秋まで、バジルを鉢やプランターで育てている…
2024年9月15日 第三部 近代世界システム 第二章 産業資本 1.商人資本と産業資本 商品交換様式Cがドミナントであるような社会構成体は、産業資本主義とともにあらわれた。交易や市場の拡大は資本主義経済の必要条件ではあるが、十分条件ではない。例えば、…
2024年9月10日 投稿 Ghalambor, C. K., et al., Non-adaptive plasticity potentiates rapid adaptive evolution of gene expression. Nature 525: 372 (2015), (文献19)の紹介 同じgenotypeを有する個体群が、異なる環境要因によって、表現型(発生過程の…
240905投稿 Evolution of a Polyphenism by Genetic Accomodation(文献18) 同じ遺伝子セット(genome)を持つ生物個体が、環境の違いによって異なる表現型を示す事象をpolyphenismsという。要するに、epigeneticsの問題である。例えば、ハチやアリのような…
2024年8月29日 第三部 近代世界システム 第一章 近代国家 1.絶対主義王権 世界=帝国では商業や交易が発展したが、それは国家によって独占的に管理されたもので、そこでは商品交換の原理は他の交換様式を上回ることはできない(註:いまの中国は?)。世界…
240823投稿 7月1日のブログで、紹介すると書いた論文です。 論文:The Genomic History of the Bronze Age Southern Levant Agranat-Tamir, L., et al. Cell 181: 1146 (2020) かつて、カナンの地にはカナン民族(ZagrosおよびCaucasus地方の祖先由来)が住…
2024年8月13日 投稿 世界史の構造 第三部 近代世界システム 序論 世界=帝国と世界=経済 ここでは、交換様式Cが優位にあるような社会構成体を扱う。まず、交換様式Cの優位性がいかにして成立したのか、を問う。マルクス主義者の間では、これは「封建制(交…
2024年8月9日投稿 雑録7:丸谷才一「食通知ったかぶり」について 僕は食い意地がはっているので、食べ物のことが書かれている本が好きだ。池波正太郎の「食卓の情景」や「散歩のときに何か食べたくなって」などだ。しかし、もっと愛好した本がある。丸谷才一…
追記: 文献17. Takahashi, Y., et al. Cell 186: 715 (2023)
2024年8月6日投稿 DNA methylation-edited mouse 前回紹介したCpG-free cassetteをpromoter近傍のCGIsに挿入する技術を使って、target genesのCGIsのmethylationを誘導したESCsを作った。図1に方法を示した。左から、target geneのCGIsで、CpGはmethyl化さ…
2024年7月29日投稿 雑録6 柄谷行人とのすれ違い 昨年出版された新書本「柄谷行人『力と交換様式』を読む」に、彼の東大教養学部での生活が少し書かれている。柄谷は1960年に東大に入学し、しばらくしてから、駒場寮に移り、社研(社会科学研究会)や歴研(…
2024年7月26日 (前回からの続き) 第四章 普遍宗教 6.キリスト教 イエスが普遍宗教の人として、現れたことが記されている。新約聖書からその例を示す。まず、司祭・律法学者への批判がある。次に、家族・共同体への拒否がある。イエスは次のように言う。…
2024年7月21日 第二部 世界=帝国 第四章 普遍宗教 1.呪術から宗教へ B 略取と再分配 (支配と保護) A 互酬 (贈与と返礼) C 商品交換 (貨幣と商品) D X (図1) これまで三つの交換様式(図1のA、B、C)によって成り立つ社会構成体について考察して…
2024年7月17日投稿 Methylation of CpG islands 表題に関する二つの論文を読んでみた。どちらも、Yuta Takahashi(Salk Institute、現熊本大)がFirst Authorとなっている。 まず、文献16。CpG islands (CGIs)は、多くの部分がmethyl化されているmammalian g…
2024年7月8日(月) 雑録5 キュウリの糠漬け 僕と美智子は、2000年から2011年まで、横浜と長野県伊那市の間を車で月2往復しながら生活していた。伊那のMBLの社宅で、糠漬けを始めた。2003年、新入社員の長谷川洋典さんが糠漬けをやっていて、糠床を分けても…