2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

230926投稿 洞窟魚の眼の欠損を支配する変異遺伝子 これまで言及してきた研究は、どれも実験室内で行われたもので、その結果から推測された「変異遺伝子を隠す仕組み(genetic capasitor)」とか、「刺激によって表れる変異表現型の遺伝的固定(genetic assi…

230918投稿 Hsp90変異と異常表現型の発現:Arabidopsis(アメリカシロイヌナズナ)のケース Lindquistたちは、Arabidopsisを使った研究でも、同じ問題に突き当たった(文献15)。多くのArabidopsis実験用育種株に対する、Hsp90阻害剤geldanamycin A(GDA)…

230916 投稿 さらに追記 R&Lは、HE2株をHsp83 19F2株に戻し交配し、産んだ卵を異なる温度で生育させた。興味深いことに、25℃で生育したHsp83 19F変異を有する個体の約20%が眼の異常表現型を示したのに対し、32℃で生育した場合、80%の個体に目の異常が認めら…

230914投稿 前回の項目への追記 R&Lは次のように考えた。 1.ハエの眼の異常にかかわる遺伝子の変異allelesが複数ある。1個体の中にある変異allelesの数が、Hsp83のbuffering作用の限界値を超えたとき、個体がHsp83 (+/+)であっても眼の異常があらわれる(…

230910 投稿 多重遺伝子変異が原因か? HE株において、「異常表現型の基となる変異遺伝子がHsp83によるbufferingを受けないように変化した」、とはどういうことなのか。この問題にたいして、Lindquistたちは、多重責任遺伝子仮説による説明を考えた。以下、…

230908 投稿 R&Lによる選択形質の継代実験 交配実験例を見てみる(図2)。変異Hsp83(19F2)をヘテロにもつハエとラボ株Hsp83(+)とをクロスし、眼が形態異常を示すF1♂を選んだ。このF1♂を同じクロスから生まれた形態が正常なF1♀(Hsp83 19F2/+)とクロスし…

230907投稿 再訂正 文献9. Yahara, I. Genes to Cells, 4: 375 (1999) Hsp90の遺伝子変異に対するbuffering作用 1998年、RutherfordとLindquist(R&Lと略す)は、分子シャペロンHsp90が変異遺伝子を隠す(buffering)という衝撃的な研究成果を報告した(文献…

追記です。 文献9.Yahara, I., Genes to Cells, 24: 1 (2019)

230902投稿 Waddingtonの研究結果(1956年) 次に、現代の分子遺伝学の立場では、納得できない結果に至った実験結果を紹介する。Drosophila Oregon株(OrK)の受精卵(採卵後2.5から3.5時間)を25minエーテルガス処理したところ、bithoraxフェノコピー(4枚…