2024年10月28日 投稿

第三部 近代世界システム

第三章 ネーション

1.ネーションの形成

先ず、柄谷が言う、「ネーション」のあらましを知る必要がある。文頭に、「この章で見るのは、それ(ネーション)が、交換様式Cの優位の下に、資本=ネーション=ステートというかたちをとるということである」とある。続いて、ネーション=国家は、ネーションと国家という異質なものの結合である、と書いてある。ただ、この前に、資本=国家の結合が先行しており、それが絶対王権であり、そこでは交換様式Bが交換様式Cの中で変形されてあらわれていた。ネーションはこの後、つまり絶対王権が市民革命によって倒された後のことだ。ネーションには、血縁的・地縁的・言語的共同体の面があるが、もちろんそれだけではない。ネーションは二つの視角から見ることができる。一つは主権国家であり、もう一つは産業資本主義である。ネーションはこれらの二つ、交換様式Bと交換様式Cを統合することによって成立した。

a.  主権国家のレベル

通常ネーションは、市民革命において現れる。ネーション(国民)は国家の主権者であるが、このようなネーション(人民)は、絶対王権の下で、身分や集団に属していた人たちが、王の臣下として同一の地位におかれることを通じて形成された。打倒される絶対王権の先行は必須であった。一般には、部族的共同体がネーションの基盤となると考えられているが、それは部族間の絶え間ない争いをもたらし、他国との結託や裏切りをもたらす。ヨーロッパでは、それらを抑えて統合したのが絶対王権なのである。このような集権化ができなかった地域では、ネーションは形成できなかった。

b.産業資本主義のレベル

アーネスト・ゲルナーは、ナショナリズムの起源を産業社会に見た。この社会の特徴は、職業的な流動性と移り変わる分業と、見知らぬ相手とも共同作業できる基礎技術の習熟している構成員にある。既に何回か述べたように、後発的な資本主義国家が真っ先に行うのは、義務教育と徴兵制である。ナショナリズムを育成することは、「労働力商品」を育成することなのだ。

(「2.共同体の代補」へ続く)