2024年11月25日

The butterfly wing pattern ground plan:the color pattern gene WntAのcis-regulatory elements (CREs)の解析

まず、chromatin構築についての解析方法を説明しておく。

TADs, topologically associating domains:空間的に近接している染色体domainsのhistone修飾のパターンや複製タイミングなどに相関する構造。

HiC解析:TADsを実験的に推測する手法。

ATAC (assay for transposase-accessible chromatin)-sequencingopen chromatin領域にtagを入れて、断片化し単離し、配列を決定する。

タテハチョウ科は、12の亜科、500以上の属、6,000種が記載されている。これらの蝶の翅のcolor patternは実に多様で、発生学的にも、遺伝学的にも、また進化学的にも非常に興味深く、多くの研究がなされてきた。これまでの研究によって、WntAが蝶のmajor color pattern elementsのsignaling ligandの遺伝子であるが、color patternが相当違っていてもWntA遺伝子そのものには、あまり違いがない。したがって、この遺伝子の発現の違いがcolor pattern変異の基盤となっていると考えられる。翅のWntAの発現変異の基となるcis-regulatory elements (CREs)による調節機構を明らかにするために、TADsのHiC解析を行った。5種のタテハチョウ科の蝶(図1C)について調べたところ、図一番下のmonarch butterfly(オオカバマダラ)を例外として、69-88%のwing-specific CREsが調べた領域に認められた。とりわけ、WntAのすぐ上流とthe first intronが重要と考えられた。

図1.文献1より引用。

CRISPR-Cas9系を利用して、5種の蝶(図1)について、46個のWntA-associated CREsのdeletionsを作成した。Heliconiusは他のNymphalidaeと違って、典型的なsymmetry systems(図2は文献2より引用)をとっていない(基調は黒色)ので、nymphalid ground planとは違うWntA発現をしている(異なるCREsを使っている)可能性を検討した。結果は、他の4種のNymphalidae蝶でcolor patternsに強い影響を与えたCREs(CRE7など)のdeletionsは、Heliconiusの黒色パターンにも強い変化を及ぼした(図3)。このことは、Heliconiusにおいても他のNymphalidaeと同じWntAのregulatory systemsを使っていることを示唆する。さらに、Heliconius butterflyのspecific CREs(他の蝶では使われていない)をinactivateしたときも、同じような表現型の変化を認めた。つまり、Heliconius種が分枝した以後に進化したCREsもより古い時代から保存されているCREsと同様の役割を演じていることになる。

図2.文献2より引用。

図3.文献1より引用。

以後、それぞれのCREについてKO実験をした結果を詳細に述べてあるが、正直言って、一般性に乏しいので、ここでは省略する。一例として、CRE21のケースを示す(図4)。

図4.文献1より引用。

文献1.Mazo-Vargas, A. et al. Science 378: 304 (2022)

文献2.Nijhout, H. F. Development and Evolution of Butterfly Wing Patterns. Wahington D. C. Smisonian Press (1991)