2024年7月17日投稿
Methylation of CpG islands
表題に関する二つの論文を読んでみた。どちらも、Yuta Takahashi(Salk Institute、現熊本大)がFirst Authorとなっている。
まず、文献16。CpG islands (CGIs)は、多くの部分がmethyl化されているmammalian genomesのpromoter-associated genomic regions中で、unmethylatedな状態を維持している。CpG clustersのmethylationを妨げる装置として、CXXC zinc finger domainを有するタンパク質の関与が示唆されている。また、trimethylated H3K4はactive transcription sitesにassociateしていて、DNA methylationを妨げている(DNA methyltransferaseのrecruitmentを妨害する)。 また、transcription factors and transcriptsの関与も議論されている。要するに、methylation blocking machineryとtranscription processが共同で作用しているらしい。
CGIの中にCpG-free DNAを挿入したら、unmethylated statusに変化が生じるか、を調べた。挿入するCpG-free DNAとして、a transgene cassette with a promoter and neomycin (neo) resistance gene (CpG配列は人工的に除いた)を使った。最初に狙ったCGIはthe promoter of the DNA mismatch-repair gene MLH1である。
MLH1 CGIは正常ではunmethylatedであるが、1対のMLH1 CGIsのどちらかでもmethyl化されている(epi-mutation)と、colorectal cancerのリスクが高まることが知られている。図1に示したようなtargeting vectorを構築し、Cas9発現系のplasmidとMLH1 CGIへのsingle guide RNAをと共に、hESCsにelectroporationによって導入した。細胞をgeneticin存在下に培養し、heterozygous homologous recombination clones (correct integration of the CpG-free cassette into one allele of the MLH1 GCI)を得た。MLH1 CGIのCpG sitesのmethylationがどうなっているかを、制限酵素Hae II(GCGCを切断)作用後にSouthern blotで調べた。Untransfected hESCsでは、二つのMLH1 allelesではMLH1 CGIは完全に消化された(メチル化されていなかった)。GpC-free cassetteが入ったallelesはメチル化されていた。次に、MLH1部位のbisulfite sequencingでsingle baseレベルでメチル化を調べたところ、CGI全域にわたってメチル化が確認できた。その割合は、SW48株(同じ領域のepimutationを有する癌患者由来)の50%程度だった。この結果は、CpG-free casetteをMLH1 CGIに挿入することによって、CGI全領域にde novo methylationを誘導できることを示している。一度入れたCpG-free cassetteをCre-loxPを使って除いたが、CGIのメチル化は維持されたままだった。さらに、その細胞を20 passages培養しても、MLH1 CGIのmethylation levelは変わらなかったし、MLH1 mRNAの発現も弱かった。

hESCsの代わりに、human fibroblast cells,やmesenchymal stem cells, HeLa cellsを使うと、MLH1 CGIのde novo methylationは起こらなかった。DNAメチル化酵素DNMT3BがhESCに高発現していることの結果と考えられる。
hESCsを使って、MLH1遺伝子以外のCGIについて同様なCpG-free casetteの挿入実験を行った。HSP90AB1とAARS2, alanyl-tRNA synthetaseをtargetとしたところ、どちらの場合も、CGIにde novo methylationが認められた。この手法の一般性が認められた。
Angelman syndrome (AS) のabnormal imprintingを修復する
ASはchromosome 15のq11-q13に位置するgene UBE3A, ubiquitin-protein ligase E3Aの機能喪失によって発症する脳神経疾患である。UBE3Aは正常にはmaternal alleleだけがallele-specific methylationされていて発現しており、paternal alleleはunmethylatedでUBE3A anti-sense RNAを転写しており、そのためsilentになっている。一つのタイプのASは、chromosome 15 paternal uniparental disomy (UPD)で、neuronsではpaternal allelesからのUBE3A anti-sense RNAが発現しており、UBE3A欠損になっている。Targeted CGI methylationを適用して、paternal UPDのabnormal imprintingを修正できるか、試みた。そのために、AS patientのB lymphocytesからiPSC linesを作製した。UBE3Aの約400kb上流にSNURF/SNFPN gene promoterのCGIをtargetにして、CpG-free cassetteを挿入し、AS iPSC HR clonesを作製した。Methylation-sensitiveな制限酵素処理とSouthern blotによって、6個の HR clones (4 heterozygous and 2 homozygous)において、CGI にmethylationを認めた(元のiPSCではmethyl化されていない)。次に、CGIにmethylationの入ったHR clonesから、integrateしていたCpG-free cassetteを除いた。CpG-free cassetteを除いても、CGIのmethylationは30 passages後でも変化していなかった。SNURF/SNRPN mRNAレベルは、neo-ex heterozygous HR clonesで約半分に、neo-ex homozygous HR cloneで完全に抑制されていた。つまり、正常なpaternalの発現様式に修正された。
では、UBE3Aの発現が修復されたかを調べた。作成したiPSC linesをdopaminergic (DA) neuronsに分化させた。Tyrosine hydrolaseやneuron-specific class III βtubulinの発現は、WT iPSC, AS iPSCおよびne0-ex HR iPSCsのどれも同じだった。RT-PCR解析によって、AS DA neuronsでは高レベルだったUBE3A antisense RNAが、HR neo-ex DA neuronsでは、WTレベルに下がっていることが確認できた。さらに、UBE3A protein levelも正常値になっていた。DA neuronsで高レベルのα-synucleinが、HR neo-ex DA neuronsで正常値になっていた。これらの結果は、aberrant imprinting methylationがintegration of a CpG-free cassetteのintegrationによって、修復されたことを示している。
CpG-free 領域の挿入がCGIのde novo methylationに必須である
CpG-containing cassetteを同様の手法で、CGIに挿入しても、HR clonesでde novo methylationは起こらなかった。そこで、CpG-free cassetteのどの部分が、de novo methylationに必要かを調べた。図2に示したように、CpG-free cassetteをいくつかのregionsに分けた。bGlo: neo -β-globin, pAn: poly-adenylation signal, S/MAR: scaffold/matrix associate region, neo: neomycin resistant gene。図の結果から、neo/bGlo pAn regionおよびS/MAR regionを使えば、de novo methylationを誘導することが分かった。Neoのscrambled配列を使っても誘導能は維持されていた。一方、SMARに10個あるいは20個のCpG配列を入れると、methylation誘導能は消失した。これらの結果は、targetのCGIsにde novo methylationを誘導するためには、特定のsequencesが必要というのではなく、挿入領域がCpG-freeであることが必須であること、を示している。

SNURF/SNRPN promoterを欠如したSNURF/SNRPN CGIのAS iPSCsを作製したが、CGIsのde novo methylationは認められなかった。すなわち、UBE3Aの転写を抑制しただけでは、CGIsのmethylationは起こらない、ことが明らかとなった。CpG-free cassetteの挿入が、一つの条件として不可欠である。
CpG-free cassetteのCGIsの違う部位に挿入した場合、どうなるか調べた。異なる部位にcassetteが挿入されたAS HRを選んだ(図3)。最初の挿入サイトが図3の1であるが、さらにtranscription starting site (TSS) 近傍に入った場合(サイト2)、およびTSSから530bpの部位に挿入された場合を調べた。サイト2に入った場合は、サイト1に入った場合と完全に同じCGIsのde novo methylationが認められた。サイト3に入った場合は、サイト3よりdownstreamのde novo methylationは認められたが、upstreamでは認められなかった(僕には、実際の論文のFig 5Eではyellow barsが被常に見にくい)。

CpG-free cassetteが入ると、いままで抑制されていたCGIsのmethylationが起こるのは、どういう仕組みなのか追及してみた。De novo methyltransferase DMMT3Bを欠損するAS iPSCsを作製し、cassetteを挿入してHRを得た。CpG-free cassetteがsite 1に挿入された場合でも、CGIsのmethylationは起こらなかった。しかし、その場合でも、SNURF/SNRPN transcriptionは抑制されており、CGIs上のH3K4me3は減少していた。CpG-free cassetteの挿入が、methylation blocking machineryの抑制に寄与していると考えられる。
結論:methylation blocking machineryを壊すこと、および、transcription activityを抑制することが、de novo CGIs methylationの必要十分条件である。このepigenetic editingの手法は、imprinting diseaseの修復を可能なものとするであろう。
- Takahashi, Y., et al., Science 356: 503 (2017)
感想:改修したepigenomeは世代を超えて安定なので、改変iPSCを使って、stem cell therapyに使える可能性はある。次に、同じ研究グループが、この手法を用いて、DNA methylation改変マウスを作製した論文を見てみる。