2024年12月29日 投稿

第四章 アソシエーショニズム

2.社会主義国家主義

ここで論じる社会主義は、国家による社会主義ではなく、国家を拒否する社会主義(アソシエーショニズム)である。フランス革命では、「自由・平等・友愛」というスローガンが唱えられた。自由は市場経済、平等は国家による再分配、友愛は互酬性という、それぞれ交換様式に対応している。ジャコバンの混乱を乗り越えて、三つを統合したのが、ナポレオンであった。ナポレオンはフランス革命における「友愛」を、イギリス資本に対抗する「ナショナリズム」に変形させた。これは、フランス革命にあった「自由・平等・友愛」を、<資本・ネーション=ステート>というボロメオの環として統合させたものである。

 ルイ・ボなバルトによる政権は、国家主義的な社会主義と言える。これに異を唱えたのがプルードンである。プルードンは平等とよりも自由を優位においた。さらに、友愛よりも自由を優位においた。これを交換様式の観点から見れば、プルードンこそ、社会主義を交換様式、あるいは「経済学」の観点から見ることを最初に提起した人である。プルードンはルソーの「社会契約」という考えを、それが双務的でないことを批判した。プルードンは「アナルシー(アナーキー)」とは、双務的=互酬的な契約に基づく民主主義のことである。アナーキーは通常、混沌や無秩序のように思われているが、プルードンによれば、国家によらない、自己統治による秩序を意味している。

 「友愛」が真に存在するためには、それが共同体に収斂するのでなく、共同体を越えた世界市民的なものでなければならない。しかし、実際はしばしば友愛は狭い共同体に収斂する。フランス革命は、当初の民族を超えた「市民」がフランス「国民」となること、すなわち友愛がナショナリズムに転化することで、終結した。プルードンによれば、自由が優位にあるときにのみ、共同体を越えた友愛が成り立つとした。社会主義者マックス・シュティルナーは、アソシエーションを形成するためには、個々人が一度共同体を絶縁しなければならない、と主張した。この場合、「友愛」は枷となってしまう。

 柄谷によれば、プルードンの目指すものは、交換様式Dに他ならない。プルードンは平等を軽視したのではなく、平等が「分配的正義」として実現することに反対したのである。これは、国家による富の再分配であり、国家の権力を強化させることになる。そうすると、自由が犠牲になってしまう。不平等を生み出すことのないような交換システムを作りだすために、プルードンはさまざまな構想を提起した。次章で、プルードンの考えを説明する。