230916 投稿

さらに追記

R&Lは、HE2株をHsp83 19F2株に戻し交配し、産んだ卵を異なる温度で生育させた。興味深いことに、25℃で生育したHsp83 19F変異を有する個体の約20%が眼の異常表現型を示したのに対し、32℃で生育した場合、80%の個体に目の異常が認められた。Hsp83変異を持たない仔のハエにおいても、32℃で生育させた場合、20%のハエに異常表現型が認められた。

 Hsp83 19F変異は、Hafenらによって、眼の異常をdominantに起こす変異として単離され、Hsp83の1アミノ酸変異体として同定されている(文献13)。Hsp83変異たんぱく質はRaf kinaseと複合体を形成したとき、その活性を低下させるという。私たちは、Hsp90たんぱく質が温度変化によってその基質特異性を変化させることを確認しているので(文献14)、HE2株の遺伝的バックグラウンドの部分を有するHsp83 19F/+変異株およびHsp83+/+株が、温度依存的に変異表現型を発現することは、不思議ではない。

  1. van der Straten, A. et al. EMBO J. 16: 1961 (1997).
  2. Yonehara, M. et al. J. Biol. Chem. 271: 2641 (1996).