240111投稿

一昨日の記事について追記

ブログの読者は次の点に留意しておいてください。

Lindquistたちは、酵母の系を利用して、Hsp90によって隠されていたallele(対立遺伝子)が、ストレスによって新しい形質として発現し、選択継代を繰り返すと、ストレスなしに新しい形質が定着する、という結果を得ることはできなかった(文献38)。

彼女らは次のような結果に言及している。HIV感染者は日和見感染の治療のためにfluconazoleの投与を受ける。2年間のF投与を受けた患者から、F抵抗性のC. albicans株を単離した。これらのF抵抗性株は、GdAとCsA存在下にF抵抗性を減じた。39℃あるいは41℃でもF抵抗性は減じた。後期に単離したF抵抗性株のほうが、Hsp90依存性の程度が弱い(Hsp90非依存性のF抵抗性が発生した)。つまり、ヒトの体内でC. albicansがストレスを受けると、Hsp90非依存性の抵抗性株が増えた。しかし、同じ論文で論じているように、chronic stressによるgradual selectionではHsp90非依存性の抵抗性が生じる(薬剤排出機構の亢進など)。このHsp90非依存性は、ショウジョウバエなどの実験で見られた、genetic assimilation的な変化とは無関係である。

そこで、出芽酵母プリオンの結果を見てみる。