2025年12月1日 投稿
宮崎 駿 「風の谷のナウシカ」のノート。第1巻
本文は、僕自身が「風の谷のナウシカ」を理解し、楽しむために書いたので、第三者に本書の内容を紹介することを意図していない。
ユーラシア大陸の西端で発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり、巨大産業社会を形成した。それは大地の豊かさを奪い取り、大気をけがし、生命体を意のままに造り変える巨大文明として1000年後に絶頂期に達したが、やがて急激な衰退をむかえた。とりわけ、「火の7日間」と呼ばれる戦争によって、都市群は有害物質をまき散らして崩壊した。複雑高度化した技術体系は失われ、地表のほとんどは不毛の地と化した。その後、産業文明は再建されることなく、長いたそがれの時代を人類は生きることとなった。つまり、世界戦争の結果、地球の環境は大きく変わってしまい、わずかに生き残った人類の物語が本書である
世界には、二つの大国、ドルク諸侯国とトルメキア王国があり、それらに周辺の諸国家が付随している。両大国とも、内部に諸問題を抱えており、それらが両大国の戦争という、全体のストーリーに影を落とす。ドルク諸侯国は滅んだ旧世界の技術を多く継承している(この点で、トルメキア王国より優位にある)。「風の谷」はトルメキアと同盟を結んでおり、本書の主人公ナウシカはその族長の娘である。
マスクをつけたナウシカが腐海(死者の森)に入って行くところから、第一巻は始まる。森で脱皮したばかりの王蟲(オーム)が、怒り狂い、人を攻撃しているのに出会う。ナウシカはオームを鎮める技術を使い、助けたのがナウシカの師ユパ先生だった。ユパ先生は大王ヤンマに運ばれていたキツネリスを助けた。このキツネリス・テトがナウシカの協力者となる。
トルメキアのヴ王の招集によって、森の毒に侵された「風の谷」族長ジルに代わって、娘のナウシカが出陣する。100年前に建造されたメーヴェ(一人乗りのガンシップ)を運転して戦に出た。腐海の地蟲に襲われている商船を発見した。商船には同盟国ベジテの避難民の女子どもだけが乗っていた。ベジテは、かっては同盟国であったトルメキアのヴ王の親衛隊に襲われて、その商船だけが逃げのびた。船には瀕死のベジテの長の娘ラステル乗っていたが、ナウシカに「これを兄にわたして」と言って、秘石を残して息絶えた。
秘石を探していた装甲コルベット(大型戦闘用飛行機)に搭乗していたトルメキアの親衛隊は、商船の残骸には秘石がないことを知り、なにものかが持ち去ったことを知った。ただちに「風の谷へ」となった。風の谷に下りた親衛隊兵士の一人とナウシカは壮烈な果し合いをしたが、腐海一の剣士ユパに仲裁された。親衛隊を率いていたヴ王の第4皇女クシャナは、兵をひきながらナウシカに「また会おう」と語りかけた。
この決闘によって、ナウシカは自分にひそむおそろしい力に気が付いた。また、長老の樹にムシゴヤシが寄生しているのに気が付かず、結局燃やさざるをえなくなった。ここで、はじめてナウシカは「わたし、なぜ族長の家になど生まれたのだろう」と自分の立場に疑問をもった。ナウシカの師ユパは、ナウシカが、聞こえぬ声をきいたり、風の心をよみとったりする不思議な力をもっておられる、と言い。さらに、その力は戦にはむかない、と続けた。城の基部の秘密の場所で、ナウシカは腐海の植物群を育てていた。ところが、それらの植物からは瘴気は出ていなかった。植物が瘴気を出すのは、土が汚れているからだと、ナウシカはトトに言った。ここに腐海の謎をとくカギがあるようだ。
クシャナの親衛隊にクロトワが参謀として派遣されてきた。彼の報告によると、3皇子がひきいるトルメキア軍主力は、ドルク軍の本拠地を急襲し、大戦果を挙げていた。クシャナはクロトワに、ここははなばなしい戦には無縁で、錆びだらけの砂嵐と蟲のうごめく腐った森だけだ、と自嘲気味に言った。クロトワはベジテの廃墟の深い地下にある抗に入った。そこには、1,000年前に7日間で世界を焼き尽くしたという巨神兵が、それも新しいままのものがあった。再度の破壊活動をおそれたベジテの者が、秘石をはずして巨神兵を眠らせたのである。トルメキアはドルクとの闘いに、この巨神兵を利用しようとしているのである。
トルメキア戦役が勃発し、ナウシカもトルメキア軍に合流した。しかし、すぐにトルメキア軍が壊滅させたベジテ市のガンシップに襲われた。そのガンシップは、ラステル姫の兄アスペルが操縦していた。ドルクの部隊と戦う前に、クシャナの親衛隊やナウシカの小部隊は大混乱し、どちらも腐海に不時着してしまった。そこはおそろしいほどに水が澄んでおり、オームの巣であった。ナウシカはオームに対し、自分たちは
敵ではない、と話しかけた。しかし、アスペルは蟲を殺しまくり、オームとも敵対した。ナウシカはマスクを無くし、半死となるが、オームは、彼女(小サキモノ)は死なないと言って去る。また、オームは、小サキモノが殺すなというので、多くの蟲を殺したアスペルも助けた。ここで、ナウシカはラステルから渡された秘石をアスペルに渡した。深海の底は瘴気がなく、マスクなしでも生きていた。壊れたメーヴェは、工房育ちのアスペルが修繕した。二人は、深海から瘴気を突き抜けて、一気に上空へと舞い上がる。
注:二人の会話に次のことが出てきた。すなわち、腐海は、太古の文明が汚した土から汚れを樹体に取り込んで、無害な結晶にしてから死んで砂になった。深海の空洞は蟲もすまない、死の世界だ。
ここまでが第1冊めである。絵の面白さや、蟲たちの怪奇さは、言葉にできない。