2024年6月26日
Vernalization 3
Vernalized stateで開花受粉し、種から次世代の個体の生育が始まる。この過程の中で、vernalized stateはFLCが支配する状態にepigeneticallyにリセットされる。このFLCのリセットは球状胚の時期に既に始まっていて、胚発生の過程でFLC発現が増加し、種子が形成されるときにはmaximumになっている。このFLCリセットの分子機構はほとんど解析されていない。ただ、FLC発現に必要ないくつかの因子は、リセットに不可欠であることがわかっている程度である
Caroline Deanの研究グループが行った研究を見てみる(文献4)。FLCの発現を植物体で容易に検出できるように、FLC::luciferase融合体(および活性化FRI:文献2参照)を有するArabidopsis株(Ler株)を使った。突然変異誘導剤EMSを使い、本来ならリセットされるはずのFLCの発現回復が不十分な変異株を取得した(図1)。変異株はvernalizationによって、いくぶん開花が早まる。次世代の芽生えでは、変異株は野生株に比して、FLCの発現が4倍になっていた。この結果は、親植物体のvernalized stateがpartially transgenerational inheritanceで次世代の植物体に伝わったことを示す。変異体が示す早期開花の性質は、続く3世代にわたって認められた。Col株との交配によって、変異領域のマッピングを行ったところ、chromosome 5の500kbの領域に変異があることを見出した。この領域の配列解析の結果、ELF6の一つのSNPが変異形質とco-segragateすることがわかった。この遺伝子は、a jumonji-C-domain-containing proteinをコードしており、H3K27me27 demethylase REF6と近縁である。elf6変異タンパク質はjumonji-C-domainのAla424がVal424に変化していた。
Wild type ELF6およびmutant elf6について、in vivo histone demethylation assay(タバコの葉にELF6をtransient expressさせる系)で調べた。その結果、wild type ELF6をtransfectすると、H3K27me3とH3K27me2の量がcontrolに比して減少した。H3K27me1の量は変わらなかった。つまり、ELF6はH3K27me3およびH3K27me2のdemethylation活性を有することがわかった(図2A)。ELF6A424V変異体をtransfectした場合、H3K27me3とH3K27me2の減少は認められなかった(図2B)。
実際にArabidopsisのFLC locusにおいて、vernalizationがH3K27me3などのレベルにどう影響しているかを、ChIP解析(anti-H3K27me3抗体とanti-H3 core抗体)によって調べた。Wild typeでは、vernalizationによって芽生えのH3K27me3は2~4倍に増えたが、siliques(角果)では元のレベルになっていた。Elf6-5 mutantでは、young siliquesのFLCにおいてH3K27me3レベルが、wild typeより高かった(demethylase 活性が低いので)。このmutantでは、FLC locusにおけるH3K27me3レベルが高いことが、次世代にまで伝わることが、明らかとなった。
疑問:図1のFLCレベルがvernalization前は、WTとmutantで同じなのは、なぜ?
- Crevillen, P., et al. Nature 515: 587 (2014)


