2024年6月21日投稿

Vernalizationの2

多くの植物は、冬は栄養成長し、春になって花を咲かせる。Arabidopsis thalianaシロイヌナズナ)ecotypesでは、vernalizationが開花時期の決定の主要な因子である。開花のvernalization要求性を決めるのは一つの遺伝子で、FRIGIDA(FRI) locusにマップされた。この遺伝子は、the late-flowering ecotype Stockholmとthe early-flowering ecotype Li5の掛け合わせ実験によって見出された。FRIはArabidopsis genomeのa single-copy geneで、609aaからなるORFをcodeしている。Dominant alleles of FRIはlate flowering を支配しているが、vernalizationによって開花が早まる。Early-flowering ecotypesはFRIのdeletion変異株(loss-of-function)である。以上、文献2の概略。

 Arabidopsisも温度の季節変化に対応した成長と開花調節を行っている。成長期の植物体では、開花抑制因子FLCとPolycomb抑制因子PRC2の作用で開花が抑制されているが、vernalizationによって抑制が解除され開花が起こる。抑制解除はFLCのtranscriptional downregulationが条件となっているが、局所的なH3K36me2とH3K4me3の減少が関連している。文献3は、FLC抑制解除のメカニズムに迫った。

 FRI(実験ではFRI-GFPを使っている)は暖かい条件で生育している植物体では複合体を形成していないが、2~3週間低温にさらすと、会合体を形成した(FRL1, FRL2などを含む)。FRIの局在を調べたところ、低温にさらした場合、核に凝集していた。FRAP(Fluorescence recovery after photobleaching)で調べると、動きが遅かった、つまり、拡散しやすいという溶液状態ではない。開花促進にかかわるRNA-binding proteinのFCAが溶液状であるのと対照的である。FRL1欠損株では、FRIのcold-induced accumulationは減じた。FRIの安定性は低温のほうが、暖かい条件より高い。しかし、低温によってFRIが核に集合体を形成するのは、FRIタンパク質の量が低温で増えたためだけではない。多くの相互作用する分子の増加が、集合体形成に必要である(詳細は省略)。フリーのFRIは暖かい条件では、FLC5’領域に結合していたが、その結合は低温に2週間さらすと減った(FLCの転写も減った)。すなわち、FRIを含む集合体形成がFLC転写を抑制した可能性を示唆した。しかしながら、nascent FLC transcriptとFRI集合体の局在は一致していなかった。低温において、FRI集合体はCOOLAIR promoterに結合しており、COOLAIRのupregulationが認められた。そのとき、COOLAIR isoform, class II.iiが作られるが、これはsplicingの変化が誘導されたためである。RNA共沈澱によって、FRIとII.ii isoformが相互作用していることが示された。

 気温が低下してきた秋の日に、たまたま暖かい日があると、FLC転写の低下が遅くなることが知られている。これに対応するように、cold-induced FRI集合体形成も温度に対応して起こることが示された。FRI集合体に含まれるFLX-2やSUF4の欠損株のFRI集合体形成におよぼす影響なども調べられている(結果は省略)。結果をまとめたのが図1である。なお、この図で示したFRI-GFP condensateは蛍光顕微鏡でdotsとして見られることと、FRAP法で速やかに拡散するような状態ではない、ことしか分かっていない。

図1。文献3より引用。
  1. Johanson, U., et al. Science 290: 344 (2000)
  2. Zhu, P., et al. Nature 599: 657 (2021)

次に、次世代においてvernalized stateがどのように解消されるのかを調べた論文を見てみたい。